2015年09月02日
ショッピングセンターでの買物客の転倒事故と運営会社の不法行為責任
ショッピングセンターの買物客が、店舗内に落ちていたアイスクリームに足を滑らせて転倒し後遺症が残る障害を負ったとして、ショッピングセンターの運営会社に対し、不法行為に基づく損害賠償等を請求した。
裁判所は、運営会社の安全管理上の義務違反を認め、損害賠償請求を一部認容した。(岡山地裁平成25年3月14日判決)
原告:X(消費者)
被告:Y(ショッピングセンター)
2009年10月31日午後8時10分頃、Yの運営するショッピングセンター(以下、本件店舗という)の1階アイスクリーム売場(以下、本件売場という)前通路において、X(当時71歳、女性)が、買い物袋を載せた大型のショッピングカートを押して歩行中、アイスクリームが床に落ちてそのまま放置されていたため、これに左足を滑らせ転倒した。
事故当日は、本件売場において一部のアイスクリームが値引販売されていた。また、同日はハロウィーンでもあったことから、多数の客が集まり、事故当時も約20名の客が行列をつくっていた。
Xが事故当時履いていた靴は、特に滑りやすい状態にあったわけではなかった。また、本件売場は、本件店舗の1階中央付近に位置し、中央出入口と生鮮食料品売場とを結ぶ主要な通路沿いにあった。
Xは、本件転倒事故により右大腿骨顆上(みぎだいたいこつかじょう)骨折および第二腰椎圧迫骨折の傷害を負い、複数の病院等で92日の入院治療、85日の通院治療を受けた。Xの症状は、一下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残して固定した。
Xは、Yに対し、店舗の安全管理を怠ったことについて民法709条の不法行為責任を、また、床が滑りやすい状態にあるのに、これを放置したことにつき土地工作物責任(民法717条1項)に基づいて損害賠償を請求した。
これに対しYは、自らに責任がないと主張、仮に責任があるとしてもXには少なくとも9割の過失相殺がされるべきである等と主張した。
ショッピングセンターで落ちていたアイスクリームで足を滑らせて転倒し、けがを負ったとして女性(75)が約2600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、岡山地裁は14日、店を運営するショッピングセンターに約860万円の支払いを命じた。